「まだ住める状態だから」「たまに風を通しているから大丈夫」——そう思って実家をそのままにしている方は少なくありません。しかし、空き家の劣化は、住んでいる時には気づかないほど静かに、そして確実に進んでいきます。今回は、放置年数ごとに家がどう変わっていくのかを、Q&A形式で見ていきましょう。
実は、人が住んでいない家は「時間が経つほど早く傷む」という特徴があります。
人が生活していると、換気や通水、簡単な掃除が自然に行われ、湿気やカビの発生が抑えられます。しかし空き家になると、この「日常のメンテナンス」が完全になくなります。
こうした変化は最初の1年でも始まっており、「見た目は変わらないのに、内部は着実に傷んでいる」状態になりやすいのです。
1年程度の放置では、外観に大きな変化が出ないことも多いですが、内部では次のような初期症状が進みます。
この段階では修繕コストも比較的抑えられることが多いですが、「気づいたら数年放置していた」というケースが非常に多いのも事実です。
3年、5年と時間が経つにつれて、劣化は「表面」から「構造」へと進んでいきます。
一宮市空家等対策計画でも、放置期間が長期化した空き家ほど、老朽化や損傷の度合いが進んでいる傾向が指摘されています(一宮市空家等対策計画 P.9 より)。
放置による劣化が一定の基準を超えると、市から「特定空家等」として指定される可能性があります。これは、倒壊の危険性や衛生上の問題、景観への悪影響などが認められる空き家に対する行政上の措置です。
特定空家に指定されると、次のような対応を求められることがあります。
一宮市空家等対策計画においても、特定空家等に対する段階的な対応方針が示されています(一宮市空家等対策計画 P.15 より)。「そのうち何とかしよう」という時間の先延ばしが、こうした重い負担につながることもあるのです。
大きな工事をしなくても、次のような対応で劣化のスピードを緩めることは可能です。
ただし、これらはあくまで「劣化を遅らせる」対処であり、時間の経過とともに管理の負担も増えていきます。将来的にどうするかの方針を、早めにご家族で話し合っておくことが、結果的に一番の安心につながります。
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一宮市の空き家問題を、はじめから読む
この記事は、一宮市の空き家問題を全30話で解説する連載の一部です。
人口動態から相続・売却・補助金まで、順を追って読めるようにまとめています。