「誰も住んでいないのだから、そろそろ売った方がいいのでは」——頭では分かっていても、実際に売却の手続きに踏み出せないご家族は少なくありません。一宮市でも、相続や転居、施設入居をきっかけに空き家となった住宅が長期間そのまま放置されるケースが目立っています(一宮市空家等対策計画 P.5 より)。
これは決して「面倒だから」「忙しいから」という単純な理由だけではありません。実は、多くの方に共通する「3つの心理」が、決断を先延ばしにさせているのです。今回は、その心理を一つずつひも解いていきます。
実家には、子どもの頃の記憶や、亡くなったご両親との思い出が詰まっています。そのため「売る=思い出を捨てる」ように感じてしまい、罪悪感を抱く方が少なくありません。
しかし、家を手放すことと、思い出を大切にすることは別の話です。写真や動画で家の記録を残したり、家族で最後にゆっくり過ごす時間を作ったりすることで、気持ちの整理がつきやすくなります。「売る=忘れる」ではなく「思い出を胸に、次の一歩を踏み出す」という捉え方に変えることが、決断への第一歩になります。
実家の売却には、相続人全員の同意が必要になることがほとんどです。しかし「まだ売りたくない」「将来使うかもしれない」「思い入れがある」など、家族それぞれの考えが異なることも多く、話し合いが進まないまま時間だけが過ぎてしまうケースが目立ちます。
こうした状況を放置すると、空き家はますます老朽化し、資産価値も下がっていきます。一宮市内でも、相続に関する話し合いがまとまらないまま管理不全となった空き家が一定数存在することが分かっています(一宮市空家等対策計画 P.8 より)。早い段階で「誰が」「いつまでに」「どう進めるか」を家族で共有しておくことが、後々のトラブルを防ぐ鍵となります。
「まだ空き家のままでも誰かに迷惑をかけているわけではないし」——そう考えて、売却の判断を先送りにしてしまう方も多くいらっしゃいます。しかし、空き家は放置期間が長くなるほど、建物の傷みが進み、固定資産税の負担や近隣トラブルのリスクも高まっていきます。
さらに、適切な管理がされていないと判断された空き家は「特定空家等」に指定される可能性があり、そうなると税制上の優遇が受けられなくなる場合もあります(一宮市空家等対策計画 P.12 より)。「まだ大丈夫」と思っているうちに、選択肢がどんどん狭くなってしまうのです。
3つの心理に共通しているのは、「感情」と「現実」のバランスが取れていないことです。思い出を大切にしながらも、現実的な資産としての実家の状態を客観的に把握することが、決断への近道になります。
まずは「今の実家がどれくらいの価値があるのか」を知ることから始めてみませんか。価格が分かるだけで、家族での話し合いも一歩前に進みやすくなります。
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連載もくじ
一宮市の空き家問題を、はじめから読む
この記事は、一宮市の空き家問題を全30話で解説する連載の一部です。
人口動態から相続・売却・補助金まで、順を追って読めるようにまとめています。