「一宮市全体で空き家が増えている」と聞いても、正直なところ、ご自身の住む地区がどうなのかは分かりにくいものです。実は、一宮市内でも空き家の多い地区と少ない地区には、はっきりとした違いがあります。今回は、その違いがどこから生まれているのかを、地域の実情に沿って見ていきます。
一般的に、古くからの住宅街や、農地を宅地化して形成された地区、または市街化区域の中でも駅からやや離れたエリアで空き家が目立つ傾向があります。こうした地区は住宅の建築年数が古く、所有者の高齢化が進んでいることが背景にあります(一宮市空家等対策計画 P.〇 より)。長年住み続けてきた方が施設に入られたり、お亡くなりになったりした後、そのまま空き家として残されるケースが多く見られます。
駅周辺や新しく開発された分譲地、子育て世代の転入が続いているエリアでは、比較的空き家が少ない傾向にあります。住み替えの需要が常にあり、空き家になってもすぐに次の住み手が見つかりやすいことが要因と考えられます。人の出入りが活発な地区ほど、空き家が「空き家のまま」で長く留まりにくいのです。
はい、理由は一様ではありません。同じ「空き家」でも、
といったパターンが地区ごとに異なる比率で存在します。古い住宅街では相続後の放置が多く、農地転用が進んだ地区では流通のしにくさが課題になりやすいなど、地区の成り立ちが空き家の発生パターンに影響しています。
古い住宅街は、道路が狭く再建築が難しい土地や、旗竿地・変形地といった条件の悪い土地が多く含まれることがあります。こうした土地は買い手がつきにくく、結果として空き家が長期化しやすくなります。一方、新しい住宅街は区画整理がされており、道路条件も良いため、売却や建て替えがスムーズに進みやすいという違いがあります。
そのとおりです。空き家の「数」が多いことと、「老朽化が進んで危険な状態」であることは必ずしも一致しません。古い住宅街では空き家の数自体はそれほど多くなくても、一軒あたりの老朽化が進んでおり、倒壊や外壁の落下といったリスクが高い場合があります。逆に、比較的新しい空き家が多い地区では、数は多くても管理状態が良く、危険度は低いというケースもあります(一宮市空家等対策計画 P.〇 より)。
まずは、一宮市が公表している空家等対策計画や、市の窓口で地区ごとの傾向を確認することができます。ただし、こうした資料は市全体や大きな地区単位の統計にとどまることが多く、「自分の実家がどうなのか」までは分かりません。ご実家の状態や周辺の状況を具体的に知りたい場合は、地域の不動産事情に詳しい専門家に相談するのが確実です。
空き家の問題は、統計上の数字だけを見ていても実感が湧きにくいものです。しかし、地区ごとの成り立ちや土地の条件を知ることで、「なぜ自分の実家の周りに空き家が増えているのか」「これからどうすべきか」が見えてきます。大切なのは、数字の裏にある地域の実情を理解し、早めに動くことです。
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連載もくじ
一宮市の空き家問題を、はじめから読む
この記事は、一宮市の空き家問題を全30話で解説する連載の一部です。
人口動態から相続・売却・補助金まで、順を追って読めるようにまとめています。