# 第3話「30年前と比べて「家族の人数」が1人減ったという事実」
「実家には誰も住んでいないけれど、まだ家族の思い出が詰まっているから」——そんな理由で、空き家をそのままにしているご家庭は少なくありません。しかし、一宮市が公表しているデータを見ると、私たちの暮らし方そのものが30年前と大きく変わってしまったことが分かります。今回は「1世帯あたりの人数」という切り口から、一宮市の空き家問題の背景を見ていきましょう。
## なぜ「家族の人数」が減ると空き家が増えるのですか?
昔は「一つの家に親・子・孫の三世代が同居する」のが当たり前でした。しかし現在は、進学や就職を機に子ども世代が家を出て、親世代だけが実家に残るケースが主流になっています。
1世帯あたりの人数が減るということは、それだけ「一つの家に住む人が少なくなっている」ということです。親世代が施設に入居したり、亡くなったりすると、その家に住む人がゼロになり、そのまま空き家となってしまう可能性が高まります。つまり、世帯人員の減少は、空き家予備軍の増加に直結しているのです。
## 一宮市の1世帯あたりの人数は実際どれくらい減ったのですか?
一宮市空家等対策計画によると、1世帯あたりの平均人員は約30年間で1人近く減少したことが示されています(一宮市空家等対策計画 P.8 より)。
かつては「1世帯=3人以上」が標準的でしたが、現在は「1世帯=2人台」が一般的になりつつあります。単純計算すると、同じ人口であっても、世帯数自体は大きく増えることになります。世帯数が増えるということは、それだけ「建物の数」も必要になるということです。裏を返せば、誰も住まなくなった建物、つまり空き家が増える土壌ができているとも言えます。
## 核家族化・単身化はなぜ進んだのですか?
一宮市空家等対策計画では、この背景として以下のような要因が挙げられています(一宮市空家等対策計画 P.9 より)。
- 若い世代が進学・就職を機に市外へ転出する傾向
- 結婚後、実家とは別に新居を構える核家族化の定着
- 高齢者の単身世帯・高齢夫婦のみ世帯の増加
- 未婚率の上昇による単身世帯の増加
特に一宮市では、名古屋への通勤圏という立地から、若い世代が利便性の高いエリアへ移り住む傾向が指摘されています。結果として、実家に残るのは高齢のご夫婦、あるいはお一人だけ、というご家庭が増えているのです。
## このまま何もしないとご実家はどうなりますか?
ご両親がご健在のうちは「まだ大丈夫」と感じられるかもしれません。しかし、多くの空き家は「相続をきっかけに、誰も住まなくなって放置される」という経緯をたどります。
一宮市空家等対策計画でも、空き家の発生要因として「所有者の死亡・施設入居」が上位に挙げられています(一宮市空家等対策計画 P.12 より)。1世帯あたりの人数が減り続けている以上、これから同じような状況を迎えるご家庭は、一宮市内でさらに増えていくと考えられます。
空き家は放置期間が長くなるほど、以下のようなリスクが高まります。
- 建物の老朽化による倒壊・部材落下の危険
- 雑草・害虫・害獣の発生による近隣トラブル
- 不審者の侵入や放火などの防犯上の懸念
- 固定資産税の負担が続くことによる経済的な負担
## 今からできる備えはありますか?
大切なのは、「まだ元気なうちに、家族で実家の将来について話し合っておくこと」です。具体的には、次のようなことから始めてみてはいかがでしょうか。
- ご実家の名義・権利関係を確認しておく
- 将来的に「住む」「売る」「貸す」「解体する」のどれを選ぶか、家族で方向性を話し合っておく
- 定期的に実家に足を運び、換気や通水など簡単な管理を行う
- 専門家に相談し、地域の相場や制度(空き家バンク・補助金など)の情報を集めておく
「まだ先の話」と思っているうちに時間が経ち、いざという時に判断が難しくなるケースは少なくありません。早めに情報を集め、選択肢を知っておくことが、ご家族の安心につながります。
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